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【エドガー・アラン・ポー 短編集】あらすじ|感想ネタバレなし【7作品収録】

作品情報

作者エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)
訳者西崎憲
レビュー 5.0
発行日2007/05/10
総ページ数287
映像化アッシャー家の崩壊 / ウィリアム・ウィルソン 映画化
ふるかわ

奇想天外で興味深いストーリーが
読者を恐怖に叩き落とす!
傑作の数々を収録した豪華短編集。

(本ページはプロモーションが含まれています)

【エドガー・アラン・ポー 短編集】作者紹介

エドガー・アラン・ポー(米 Edgar Allan Poe 1809-1849)
小説家、詩人。
幼くして旅役者の両親と死別し、商人をしている夫妻に育てられる。
活発で語学にも長けシェークスピアに親しみ、自身で詩も書く。

成長するにつれ、育ての父との関係に歪が生じ
大学では仕送りの少なさを補おうと賭け事をして問題となる。
後に入学する陸軍士官学校でも、金銭面で困窮する時期を過ごす。

学校を離れた後は職を転々としながら詩や小説を書き溜め出版社に応募。
作品が掲載されるようになり、編集者として働きながら小説を発表する。

人となりについて、横柄で酒と薬に溺れ、たびたび暴力沙汰を起こす男とされてきたが
これは、ポーの友人で遺著管理を任された「ルーファス・グリズウォルド」による過度の誇張だそうで
(ルーファスはポーを恨んでいたとされている)、1970年代以降、修正される。

ポーは文学雑誌が急速に発展を遂げようとしていた当時、編集者としても作家としても
発行部数の引き上げと新しい文学ジャンルの開拓に大いに貢献した。

なぜかは不明だが、最期は路上で倒れているところを発見され病院に運ばれるも数日後に没する。

【エドガー・アラン・ポー 短編集】あらすじ|感想ネタバレなし【7作品収録】

【エドガー・アラン・ポー 短編集】には7つの短編を収録。
巻末では訳者「西崎憲」によるポーの生い立ち、人となりや文学への貢献といった情報がまとめられております。

  1. 黄金虫(1843年)
  2. ヴァルドマール氏の死の真相(1845年)
  3. 赤き死の仮面(1842年)
  4. 告げ口心臓(1843年)
  5. メールシュトレームの大渦(1841年)
  6. アッシャー家の崩壊(1839年)
  7. ウィリアム・ウィルソン(1839年)

 ・エドガー・アラン・ポー小伝
 ・熱と虚無 - エドガー・アラン・ポーとは何か

1.黄金虫(1843年)

あらすじ
何年も前、ぼくはサウス・カロライナ州の港町の近く、
サリヴァン島に住む「ウイリアム・レグラント」という男と親交を結んでいた。
彼は裕福な出でだったが、島まで逃れ、黒人の召使い「ジュピター」と大型犬1匹と共に質素に暮らしていた。
ある寒い夜、レグラントは、ぼくに新種の黄金虫(スカラビアス)を見つけた話をする。

その1ヵ月後、元気のない様子のジュピターが1人でぼくの元を訪れ「レグラントが厄介なことになっている」と
助けを求めに来る。彼の元に駆け付けると、非常に興奮した様子でそのまま本土の荒涼とした台地まで案内され…。

探検、ロマンと怒濤の種明かしが面白い!黄金の冒険譚!

[感想]
レグラントは落ちぶれた設定ではあるんですけど、
暖をとれる小屋に頼もしい召使と犬と暮らしていて、楽しそうに見えるんですよね。
そして、主人公も惹かれた「知性」をそこかしこで披露してくれてかっこいい!
舞台にもキャラクターにも魅力がたっぷり詰まった興奮の物語でした。

黄金虫」は、本の朗読音声を提供しているAmazonのサービスAudible(オーディブル)に収録されています。
初めて利用される方は無料で聴けますよ。Audibleについては本ページ下部「Audible(オーディブル)で聴くエドガー・アラン・ポー」にて解説中です。

2.ヴァルドマール氏の死の真相(1845年)

あらすじ
臨終に際した人間に催眠術をかけた場合、その人間にどのような反応がみられるのか。

わたしは、肺結核を患い余命わずかの友人「ヴァルドマール氏」の協力により、氏に催眠術をかけた。
ふとした思い付きが人知の及ばない戦慄の結果をもたらす。

[感想]
生死の境に漂ってる人間に催眠術をかけるなんて…、不謹慎だし、とっても危険そう!(ワクワク)
恐ろしい実験過程は常に興味深く、最高のフィナーレを見せてくれた。

3.赤き死の仮面(1842年)

あらすじ
永きに渡り「赤き死」が国を荒廃させていた。
激烈な苦痛を与え、毛穴からおびただしい出血を伴うその病は発症から半時間で死をもたらす。
プロスペロ公は選別した千人と十分な食料、酒と共に城内に立てこもった。
享楽にふける日々も6か月が過ぎようとする頃、それは音もなく現れた…。

[感想]
恐怖と罪悪感を紛らわすために、から元気を出して過ごす上流階級たちの歪んだ笑顔を想像すると、
ホント、気持ち悪い空間を作り出したなあと、ポーの発想にゾっとする。
1つの出来事で、あっという間に群衆に恐怖が伝染していく様子が圧巻。

4.告げ口心臓(1843年)

あらすじ
理解しがたい動機による執念の犯行。完全犯罪の達成を目前に、全く想定外の出来事に翻弄される。

[感想]
何を考えているか想像できない相手って怖いですよね。
そんな相手が闇夜に溶け込み奇行を繰り返します。しっとり読める。どんでん返しあり。

                  ※「告げ口心臓」はAudible では
                   「ポー名作集」16話目「物言う心臓」 というタイトルで収録されております。

5.メールシュトレームの大渦(1841年)

あらすじ
切り立つ岩山の頂に腰を下ろした男。眼下に広がる大海原には高い波が現れ、轟音を立てうねると巨大な渦を作り出した。
漁師を生業とする男が運悪く大渦に巻き込まれた恐怖と絶望の光景をダイナミックに描いた作品。

[感想]
大きな水の流れから、黒い口を開けた渦に変容するまで。
人知を超えた神の御業を巧みな言葉で描き出しています。
なんでこんなにも怖いんだろう。バンジー好きも、下にこの大渦があると、とても飛べたものではないでしょう。

                 ※「メールシュトレームの大渦」はAudible では
                  「メールストロムの旋渦」というタイトルで収録されております。

6.アッシャー家の崩壊(1839年)

あらすじ
少年時代の友人「ロデリック・アッシャー」から助けを求める手紙を受け取り、
男は陰鬱な空気の中に佇むゴシック様式の館「アッシャー家」を訪れた。
そこにはあまりにも恐ろしい変貌を遂げた友人の姿があった。

[感想]
常に重く暗い雰囲気が垂れこめているのですが、憂鬱になる暇を与えないくらい、
舞台や挿入されている詩が美しく、謎めいた館の作り、ストーリー展開に魅了されます。


本作「アッシャー家の崩壊」については、
「一体、どういう話だったのか?」読後に検索される方が多いようで、私なりに考察した内容を載せてみました。
ご興味がございましたら、ネタバレに了承の上、ご覧ください。

>> ポーの傑作「アッシャー家の崩壊」考察・解説ネタバレあり

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7.ウィリアム・ウィルソン(1839年)

あらすじ
私「ウィリアム・ウィルソン」は、幼い時から傲慢で、容易く興奮する気質を備えていた。
そして、学生となった私の前には驚くことに、
謙虚で慎ましい、同姓同名の「ウィリアム・ウィルソン」なる男が現れたのだ。

彼は、ことあるごとに私に干渉し、差し出がましい助言をしてきたが、私は忠告を退け、愚行を重ね続けた…。

[感想]
知能もカリスマ性もあり、ポテンシャルが高いのに生来の性(さが)から悪行を重ね、
転がるように不幸の底に落ちていく主人公。
自業自得なんだけど、「もう、その位にしといてあげてください」と作者に頼みたくなるほど、気の毒になる。
作者の学生時代の実体験が元になっているであろう場面にかなり臨場感があるせいで、
主人公とのシンクロ率が高まり、心にダメージ大。

                 ※「ウィリアム・ウィルソン」はAudible では
                  「ウィリアム・ウィルスン」というタイトルで収録されております。

エドガー・アラン・ポー小伝

本書【エドガー・アラン・ポー 短編集】には「エドガー・アラン・ポー小伝」として
ポーの生い立ちから、小説家、編集者としての功績と没するまでの生涯を記しています。

熱と虚無 - エドガー・アラン・ポーとは何か

本書【エドガー・アラン・ポー 短編集】には、ポー小説の世界的評価、人となり、人間関係について記載あり。

著:エドガー・アラン・ポー, 編集:西崎憲
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