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オペラ座の怪人|あらすじと感想ネタバレなし【100年愛される物語】

作品情報

作者ガストン・ルルー
訳者平岡敦
レビュー 5.0
発行日2013/7/20(原作は1909年発表)
総ページ数570
受賞歴2016年 第21回日仏翻訳文学賞受賞(小西国際交流財団主催)
映像化映画/舞台/コミックなど多数
ふるかわ

実在する「オペラ座」を舞台にした
美しい歌姫とミステリアスな怪人の愛憎劇。

(本ページはプロモーションが含まれています)

【オペラ座の怪人】作者紹介

ガストン・ルルー(仏 Gaston Leroux 1868-1927)

裕福な家に生まれる。弁護士として数年働いた後に司法記者として活躍。
スペイン・モロッコ・ロシアなど海外特派員として10年以上飛び回った後に
本格的に作家生活に入る。

30を超える長編小説と短編9作を残し
短編8作が創元社文庫「ガストン・ルルーの恐怖夜話」に収録されている。

ふるかわ

「恐怖夜話」は大人のおとぎ話の風合い。
残酷描写は過度ではないのにすごく怖い。かなりおすすめ。

代表作は「黄色い部屋の謎」(1907)と続編「黒衣婦人の香り」(1908)
他作品は日本語訳での出版はされていないようだ。

【オペラ座の怪人】登場人物とあらすじ【100年愛される物語】

【登場人物】

エリック…オペラ座に潜む男。骸骨のような容貌で燕尾服を纏っている。
     人目を避けて行動するが、時折、踊り子やスタッフに目撃され
     ”オペラ座の怪人(ファントム)”と噂され恐れられる。

クリスティーヌ…若手女優。父の死のショックを引きずり、歌う喜びを忘れていたが、
        エリックの歌唱指導により天性の才能を花開かせる。

ラウル…クリスティーヌの幼なじみで子爵の位を持つ。クリスティーヌへ身分違いの恋をあきらめきれず苦しむ。

【あらすじ】

19世紀後半のパリ
豪華絢爛な演目で人々を魅了するオペラ座では”ある怪人”の噂が囁かれていた。

物陰から突如現れたかと思うと一瞬で姿を消す”オペラ座の怪人”。そんな奇妙な男の正体が明らかにならない中、
道具係の死体が見つかり、劇場支配人には赤文字で書かれた手紙が届くなど不気味な出来事が相次ぐ。

ある公演当日、看板女優の欠席により、若手女優「クリスティーヌ」が主演に抜擢される。
クリスティーヌは代役を見事つとめ、観客たちは新たな歌姫の誕生を鳴りやまぬ拍手で迎えた。

観客席にいた幼なじみの「ラウル」は、クリスティーヌの成功を讃えるため、彼女と久々の再開を果たす。
彼女はオペラ座で出会った「音楽の天使」の指導のおかげで歌が上達したことを打ち明ける。

その後、クリスティーヌは失踪し、オペラ座では公演中に痛ましい大事故が起こる。
果たして一連の騒動には「怪人」が関わっているのか!歌姫クリスティーヌの生死やいかに!?

※オペラ座が完成したのが1875年。明記されていないが物語は1880年ごろを舞台に描かれていると思われる。

【オペラ座の怪人】感想ネタバレなし

妖しく美しい舞台に酔う

バロック様式の巨大建造物「オペラ座」の屋上から地下まで余すことなく舞台にしており迫力がある。
舞台上演中は豪華な歌劇と客席を埋め尽くす宝石を付けた上流階級のいる煌びやかな光景が広がり、
閉館中は控室や廊下で幼い踊り子たちが小鳥のように賑やかに怪人の噂をする様子が微笑ましい。
湖をたたえる地下には、存在を忘れられたオペラ座の元従業員や素性の知れない者がひっそりと隠れている。

オペラ座の怪人の人間性に惹かれる

オペラ座を知り尽くす”怪人”こと「エリック」。醜い容姿のため、人と関わることは滅多にないが、
女性に優しく、気遣いも欠かさない紳士。張り詰めたシーンでもジョークを入れてくるひょうひょうとした人物で
常にスマート。底意地の悪い人間には悪戯を仕掛ける少年のような面もあり。

人の侵入を拒むエリックの住まい「オペラ座の地下」

エリックが防犯目的で住まいの周辺に仕掛けているトラップが面白い。
引っかかれば死ぬので、警戒しながらエリック宅に向かうシーンは緊張しっぱなし。
「責め苦の部屋」という空間があるが、あらかたの拷問をやりつくし、
新たな刺激を求める人間用に開発されたことが想像できる。
エリックのセンスが光るアトラクション小屋といったところ。

コミカルな脇役たち

エリック達主要人物の三角関係と並行して、進められるドタバタ劇に登場する。
かねてより”オペラ座の怪人”の存在を感じている「古株の従業員たち」と、非現実的だと否定する「新支配人」。
従業員たちの正気を疑いながらも、次々と起こる奇妙な出来事に恐怖する支配人の混乱ぷりも見ものの一つ。

著:ガストン・ルルー, 翻訳:平岡 敦
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