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「アッシャー家の崩壊」の真相がわかると恐怖倍増ですよ
このままじゃ終われないっ!?アッシャー家に残された「謎」の数々。
「アッシャー家の崩壊」を読み終わったときはまるで、
感動するほど美味なメイン料理を、全然食べ終わってないのに当然のように下げられたような気持ちになりました。
面白かったけど、まだ楽しみ切れていない。なんでもう終わっちゃったのかわからなくて混乱状態です。
どどど、どういうことなんだっ!?
そして、名画に隠された暗号のごとく、
この話には注意深く読めばびっくりするような事実が残されているはずっ!と考えました。
…無いんですよね。読み返して新たに感じることや気づかされることはありますが、
自分が抱く多くの謎に回答が出ることはないです。
ここでは「アッシャー家の崩壊」をどういう話であると理解すればよいか
自分なりの考察、思考の流れを載せておきます。
▼考察を読む前にアッシャー家の崩壊を朗読で聴けますよ。
>> 朗読版を聴いてみる
【ネタバレ解説】「アッシャー家の崩壊」謎の正体とは!?
はい!
…なんですか?…。
お医者さんがいましたよね?
「卑しい狡猾さ、それに当惑が入り混じった表情」なんて
酷い印象を持たれてたけど、なんでそんな風に書かれたのかな?
アッシャー兄妹を生かさず殺さずして、できるだけ長く
治療費をかすめ取ろうとしていた卑しさでも表情に出ちゃってたの?
そこまでは考えていませんでした。想像力が豊かなのですね。
まあ、回答と併せて、説明をさせてもらいますね。
ポー作品を読む前の心得
作者のポーは「推理小説の父」と呼ばれる人で「アッシャー家の崩壊」は1839年に発表された作品です。
現代の私たちが親しむ物語の基盤もこれから徐々に出来上がっていくという時期なんですね。
私たちは”伏線”というものに敏感でも、当時の読者はそれを意識していなかったと思います。
ポーも深読みする読者のことは想定していないかと。
つまり、
「医者」はアッシャー家の財産が枯渇していないことを表すだけの存在ではあっても、
「卑しい狡猾さ―」という特徴はストーリーの本筋には関わってこない。
と言っていいと思います。
嫌な感じの医者の方がこの物語に馴染みますが、彼がどんな卑しいことを考えていたところで話に影響はありません。
多くの「謎」を作り出したのは「読み手自身」
語り手の寝室の真下に当たる場所に妹を安置したのには
どんな意図がっ?
地下が「火薬の貯蔵庫」ってほのめかしてたのに
なんで館が爆発しなかったの?
こんな感じで、読者の皆さんは2000年代の今日までに多くの作品をもって出来上がった「お約束」を
1800年代に書かれた話から無意識に読み取ろうとして勝手に「解けない謎」を作り出し、
読後にモヤモヤする方が多いのではないでしょうか。私もそうでした。
このお話は皆さんが思っているよりずっとシンプルです。
敢えて答えてみますが、棺が自分の真下に置かれたのは、
立ってるときは足、寝てるときは背中がそわそわして恐怖を誘うからかな。
火薬は…なんに使ってたんでしょう。少なくともクライマックスを「大爆発」で飾ることはありませんでしたね。
「アッシャー家の崩壊」の楽しみ方【秘められた恐怖】
結局、わからないことばかりなんだね!
じゃあ、もう君に聞くことはないよ。
まぁまぁ、では「ロデリックがなぜ、妹マデラインを見殺しにしたか」はお分かりになりましたか?
こちらについては解釈を導き出してみましたので説明させてください。
妹を棺に閉じ込める以前のロデリックのセリフと妹についての記載を振り返ってみましょう。
ロデリック「未来の出来事がぼくは恐ろしい。出来事そのものではなく出来事の結果が。」
語り手 「アッシャーは自分を悩ます特異な憂鬱の原因の大半が
(中略)愛して止まない妹の死に原因があることを認めていた」
ロデリックの憂鬱の大半は「妹が死ぬ未来」に占められていました。
妹が亡くなり、棺に納めたとき「妹が死んだ現実」に心を痛めつつも、
「妹が死ぬ未来」からの解放に心労が和らぐのを感じたのではないでしょうか。
しかし、強硬症により動かなかっただけで妹はまだ生きていることにロデリックは気づきます。
このとき、
再び「妹が死ぬ未来」に苛まれる日々を送ることを避けたくて、
ロデリックは妹を死んだものとして棺に蓋をしてしまうのでした。
驚いたことに妹は棺の中で一週間以上も苦しみながら生き続けます。
感覚の鋭敏なロデリックは妹がもがいていることを知っていますが、
今度は「妹から非難を受ける未来」を恐れ続け、とうとう、棺から救出することはありませんでした。
この間は恐らく一刻も早く妹が死ぬことを願っていたのではないでしょうか。
…(ゴクリ。)
多くの人間が共感できる恐ろしい心理ですよね。
「アッシャー家の崩壊」というストーリーはこの項で説明した、
「妹が死ぬ未来を恐れる」状態から「妹の死を願う」ようになる妙が主要となる魅力の一つで、
併せて舞台を飾る多くの効果(※1)や演出(※2)を楽しむものだと思います。
※1…アッシャー家の歴史、計算された石の配列が気になる館、館から発生している知覚する気体、
そして詩(ロデリックの狂詩曲(ラプソディー)「憑かれた宮殿」)など
※2…最期の夜に朗読される「狂える会合」の話中で「板を引き裂き」「斬られた竜が叫び」「盾が落ちる」際に
妹が立てる実際の物音とリンクしている
うわー!面白い!
他のポー作品も読みたくなってきた。
「アッシャー家の崩壊」だけではないっ!?ポー名作の数々!
ポーは若くして亡くなりますが、ありがたいことに多くの物語を残してくれました。
代表作は下記3作品
- アーサー・ゴードン・ピムの冒険
- 黒猫
- モルグ街の殺人
他作品でも私たちを大いに楽しませてくれることは間違いないでしょう。
とっておきのチョコの詰め合わせを時間をかけて味わうように
珠玉の作品をゆっくり堪能させていただきたいと思います。
「アッシャー家の崩壊」は「エドガー・アラン・ポー短編集」の最後に訳者「西崎憲さん」も解説されていますが、
他にNHKテキスト「100分de名著(※3)」にてアメリカ文学者「巽孝之さん(たつみたかゆき)」が
発表当時のアメリカの時代背景も併せて解説されています。
※3…ポー代表作「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」「黒猫」「モルグ街の殺人」の3作についても解説あり。
専門家ならではの視点から、物語を読んだだけではわからない情報を提供してくれています。
▼ポー傑作選1は「アッシャー家の崩壊」「黒猫」を含む傑作14編が収録されている新訳文庫です
Audibleでも聴けるので、プロの朗読で世界観にひたってみるのも楽しみ方のひとつ。
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