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山の霊異記(りょういき)-赤いヤッケの男-|あらすじと感想ネタバレなし

作品情報

作者安雲潤平
レビュー 3.8
発行日2010/04/20
総ページ数306
ふるかわ

山に関する世にも不思議な出来事
命拾いした登山者が語る恐怖など
28話の体験談をまとめた山岳怪談集。

(本ページはプロモーションが含まれています)

【山の霊異記-赤いヤッケの男-】28話収録

「山の霊異記-赤いヤッケの男-」は、28話の体験談をまとめた山岳怪談集です。

収録作品

  1. 八号道標…雲一つない晴天の中、山岳事故に遭ったのは登山のベテランの男だった。
      事故直前に彼が妻にかけた電話には不審な音声が紛れ込んでいて…。
  2. アタックザック…難ルートの北鎌屋根。何とか休めそうな平地を見つけテントを張る。
      そこで放置されたザック(登山用リュック)を見つけた話。
  3. 赤いヤッケの男…息絶えてもついてくる男の話。
  4. 山の掟…ある古い山小屋内で杭で閉ざされたドアを発見する。夜中、そのドアに向かう登山客を目撃する。
  5. 孔雀…小屋の管理歴40年の主人が語る、かつて訪れた美しい女性登山者の話。
  6. 急行アルプス…夜行列車で出会った気さくな青年。
      Y岳にクロユリの見事な群生があると青年に紹介され向かうと、そこには…。
  7. 鏡…遭難した先輩が恐れていた小梨平のトイレにある鏡。
  8. 究極の美食…キノコの危険な魅力に取りつかれた愛好家。
  9. 笑う登山者…笑顔をたたえ距離を詰めてくる謎の登山者。
  10. 追悼山行…T大学山岳部に代々伝わる話。山岳部リーダーが行方不明となった山で、
      後輩たちが追悼のため登山をした際、避難小屋で起きた出来事。
  11. 常念岳駐車場…筆者が北アルプスに登れなくなったきっかけとなる話。
  12. カラビナ…クライマーの聖地「一ノ倉沢」に単身赴いた筆者が岩壁にへばりつき、
      己の未熟さと命の危険を感じていた時、手助けをしてくれたベテランクライマーの話。
      ※カラビナ…岩登りをする際に使う金具。
  13. もうひとりの客…長野の八方尾根を訪れた男が誤って「ケルン」を倒し、麓の温泉宿で身も凍る体験をする。
      ※ケルン…小石を山の形に積み上げたもの。道標、遭難者の慰霊を意味する。
  14. 鎌策婆…鎌策尾根で鎌を手に持ち登山者を驚かす妖怪。
  15. ザクロ…一歩踏み外せば崖に転落の狭い道を慎重に歩いていると、道の向こうにクライマーが現れる。
      こちらが渡り切るのを待つかと思いきやズンズンとこちらに向かってきて…!?
  16. 残雪の霞沢岳…異常な寒さと雪が荒れ狂う霞沢岳の夜をテントの中で耐えていると
      救助を求める妖艶な女性が現れて…。
  17. ハーケンは歌わない…滑落したクライマーがよく運ばれる病院で起きる怪現象。
      ※ハーケン…岩や氷の壁を登る際に使う釘。
  18. クライマーズ・センス…危険と隣り合わせの崖のぼりをするクライマーは自然と神経が研ぎ澄まされる。
      だからクライマーの「嫌な予感」は無視しない方がいいという話。
  19. 荒峰旅館…下山中に突然、呼吸がしづらく咳が出始める。
      苦しみながら途方に暮れていると古いコンクリート製の宿を見つける。
  20. 銀のライター…不可解な死に方をしている動物の傍らに落ちていたライター。
  21. 暴風夜…突然の悪天候により飛び込みで泊まった山麓のペンション。
      夜、荒れ狂う嵐の中から奇怪な音が聞こえてくる。
  22. ゾンデ…雪崩に巻き込まれた登山者を捜索中、ゾンデで遺体に傷をつけってしまった男。
      もちろん、わざとではなかったが、男は同年夏に肝を冷やす体験をする。
      ※ゾンデ…長さ3メートルほどの棒のこと。先端を雪に刺しその感触から雪崩埋没者を捜索する。
  23. 乗鞍岳の夜…満点の星空を撮影するため乗鞍岳に登った男が深夜に体験した奇妙で恐ろしい出来事。
  24. 霧の梯子…山頂に続く15Mの梯子を上っている途中、女の声が聞こえてきて…。
  25. 猿ぼぼ…亡き友人が岐阜で購入したお守り「猿ぼぼ」に救われる話。
  26. 牧美温泉…女将とその娘が切り盛りする寂れた宿。
      行き届いた接客とおいしい料理に心打たれ翌年も宿に立ち寄るが…。
  27. コンタクトレンズ…二人組で登山旅に出かけるが
      仕事が忙しく徹夜が続いていた男の様子がどんどんおかしくなっていく。
  28. 盗聴…北アルプスの山荘に宿泊した男女。「誰かに話を聴かれている。」とひどくおびえた様子でスタッフに訴える。  
      部屋に変わった様子は見られなかったが、朝になると異様な光景が広がっていた。

【山の霊異記-赤いヤッケの男-】感想|ネタバレなし

登山家たちの命を脅かす存在は、仕掛けてくることは地味です。(足を引っ張ろうとしたり、道に迷わせたり)
でも、本書に書かれている怪異に遭遇する山はベテラン登山家が訪れるような場所で
一歩足を踏み外したり、1つの判断ミスが死に直結します。

そして命拾いをした登山家がたまたま出会った山小屋や麓の居酒屋で臨場感たっぷりに体験談を語ってくれます。
照明の落ち着いた小屋で木の匂いに囲まれながらとか、地酒を傾けながら会話している気分になって
ワックワクします。そこが本作の大きな楽しみの1つです。

ほとんどは怖いお話で複雑な内容ではなく
ほかに胸を打ったり、少し切ないようなお話も含まれています。
嬉しいことにオチもついていて読みやすいです。

「急行アルプス」「究極の美食」「笑う登山者」が特に心に残っています。

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