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小林泰三「完全・犯罪」あらすじと感想ネタバレなし【魅力的な登場人物たち】

作品情報

作者小林泰三
レビュー 5.0
発行日2010/09/30
総ページ数252
ふるかわ

「殺害・復讐」に全力投球!
パワフルな登場人物や過激な暴力描写が爽快。
ブラックユーモア満載の書下ろし「ドッキリチューブ」を含めた。計5話の短編。

(本ページはプロモーションが含まれています)

小林泰三「完全・犯罪」あらすじ

小林泰三「完全・犯罪」には下記の5作品が収録されています。

  1. 完全・犯罪
  2. ロイス殺し
  3. 双生児
  4. 隠れ鬼
  5. ドッキリチューブ
  1. 完全・犯罪…物理学者の時空博士は憤っていた。タイムトラベル理論を研究し証明まであと一歩のところで
    偶然にも同じ理論を研究していた水海月(みずくらげ)博士が物理学賞を受賞したのだ。
    「本来。この賞を貰うべきは私だっ!!」時空博士はタイムマシーンを完成させ過去の水海月博士の殺害を目論む!
  2. ロイス殺し…ユダヤ人少年「アルフレッド」は幼なじみの少女を殺し逃亡した札付きのクズ少年「ロイス」に復讐するため生まれ故郷を後にする。ロイスは見つからないまま、貧しいアルフレッドは放浪を続け
    盗みを繰り返しギャングの一員となる。
    数年後、ロイスを発見したアルフレッドはじっくりとロイス殺害の機会をうかがう。
  3. 双生児…自分は何者?双子の姉「真帆」は本当に自分は真帆か?妹の「嘉穂」ではないか?
    物心がついてから自己について、結び付けられる名前について、答えの出せない疑問に苛まれていた。
    しかし、19歳となった彼女に謎を紐解くきっかけが訪れる。
  4. 隠れ鬼…秋の夕暮れ時、仕事帰りの桜庭貞二は河川敷を歩いていた。
    後方から痛いほどの視線を感じ振り返ると鬼の形相で桜庭を睨みつけるホームレスの男の姿が…。
    男は何事かを叫び、桜庭を追いかける。桜庭は男を振り切ろうと必死に走り出す。
  5. ドッキリチューブ…「ドッキリ」だと言えば何でも許されるのか?
    広告費のために過激なドッキリを撮影していた男の転落劇。

小林泰三「完全・犯罪」感想(ネタバレなし)【魅力的な登場人物たち】

  1. 完全・犯罪…時をかける時空博士のひとり相撲っぷりに腹を抱えた。ギャグに振り切れちゃってるホラーも大好き。
    結果からタイムトラベル理論を推察する過程は博士と一緒に頭をひねり、良い脳トレになる。
  2. ロイス殺し…復讐を果たすためには自分が生きていないといけない。毎日生きるのに必死。
    人から奪わないことには命をつなげない壮絶な主人公の半生に圧倒される。
    はったりで乗り切るギャングならではのスリリングな日々とロイス殺害計画の巧妙さも楽しめた。
  3. 双生児…そんなことずっと考えてどうするの?長いこと真帆の疑問に付き合わされて頭がぐわんぐわんしてくる。
    しかし、謎は謎のままで終わらず種明かしがされる。
    回答を得たときの爽快感に間髪入れず衝撃の展開が待ち受けていた。
  4. 隠れ鬼…正気とは思えない様子の人が必死に主人公を追って爆走する。想像すると面白すぎる。
    大人になって爆走することなんてないですもんね。(子供の頃もなかったかも)
    追いかけていた理由が「んな、バカな!?」って理由なんですよ。でも追いかけている当人は大真面目。
    奇妙な発想と人間の性(さが)を皮肉ったブラックな作品。
  5. ドッキリチューブ…人を食ったようなスタンスで生き続ける男が、きれいにしっぺ返しをくらう話。
    これでもかと痛めつけられる様が痛快。

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