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姫君を喰う話 宇能鴻一郎 傑作短編集

作品情報

作者宇能鴻一郎
レビュー 5.0
発行日2021/07/28
総ページ数384
受賞歴第46回芥川賞受賞「鯨神」収録
映像化「鯨神」は1962年映画化
ふるかわ

耽美、豪快、滑稽、どんなテイストでも重厚に描き切る奇才の不朽の名作短編集!

(本ページはプロモーションが含まれています)

【姫君を喰う話】あらすじ

1960~70年代に発表された短編を収録しております。

  1. 姫君を喰う話…煙がもうもうと立ち込めるモツ焼き屋。動物のあらゆる部位を提供する繁盛店でたまたま隣り合わせた虚無僧姿の男が肉を咀嚼しながら語る、処女巫女「斎宮」と彼女に恋慕を燃やした若き武者の話。
  2. 鯨神…明治初期、捕鯨を生業とする九州の小漁村ではひときわ巨大な鯨「鯨神」に多くの村人が命を散らされていた。村の若者「シャキ」は身を切る冬の寒風と波に打ち付けられながら家族の仇「鯨神」に闘いを挑む!第46回芥川賞受賞作。
  3. 花魁小桜の足…江戸時代の長崎「出島」。父のように慕っていた老オランダ人の帰国に心を痛める花魁「小桜」。正月に行こなわれるキリシタン改めの踏絵で絵姿を踏まずハリツケになり殉教すれば、いずれ老オランダ人に天国で会えるとそそのかされ、絵を踏む覚悟を決めるが…。
  4. 西洋祈りの女…夏盛りの三重の山村。当時としてはまだ珍しい洋服を纏った女祈祷師が2人の子供を連れやってきた。女はひと夏の滞在中に村の年寄りたちの病を癒し尊敬と羨望を集めた。そして洗練された容姿は村の若者の性も大いに刺激して…。
  5. ズロース挽歌…筆者の元に「拘置所附属病院」から便りが届いた。差出人は尿毒症により余命わずかの男。手紙には、少年時代に抱く女性への性的関心とズロース(ゆったりした、下着の一種)への執着が年を重ねても冷めず、事件を起こした経緯と筆者へのある「願い」がしたためられていた。
  6. リソペディオンの呪い…大分県別府にある鍾乳洞の奥部に祀られる「石児」にまつわる話。

エッセイ 三島由紀夫と新選組…筆者が人生最後の仕事として構想している話。
解説 篠田節子

【姫君を喰う話】感想|ネタバレなし

ひとつの物事に対する考察と掘り下げの深さに目をみはる。また、「性」に対し常人には到底及ばない領域にまで踏み込み、その世界を描かれていますが、これは筆者の懐の広さによりなせたものだと思います。そんな超人の筆者が調査した風俗と膨らませた構想をぎゅぎゅーっと凝縮した物語の数々。実に濃い時間を過ごさせていただきました。

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