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雀野日名子「トンコ」あらすじと感想ネタバレなし

作品情報

作者雀野日名子
レビュー 5.0
発行日2008/10/25
総ページ数239
受賞歴第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞
ふるかわ

表紙絵と題名、そして話中の「トンコ」はめっちゃプリティー!
しかし、人はトンコを激しく拒絶し威嚇します。
辛い話なので読む場合は心して。
他2作をまとめた短編集。すべて微グロ。

(本ページはプロモーションが含まれています)

雀野日名子【トンコ】3話収録

  1. トンコ

トンコは生後6ヵ月、心優しく賢い養豚の女の子。
初めて乗る運搬車は高速道路で横転し、トンコは投げ出される。
混乱の中、1月前に姿を消した兄弟たちの気配を感じ、車線を越えた山林に分け入るトンコであった。

  1. ぞんび団地

小学2年生の女の子「あっちゃん」は学校が終わると電車に乗って「くちなし台」に向かう。
フェンスを越えた先のくちなし台の住宅地にはぞんびのみんなが暮らしている。
ぞんびは大きい声を出したり叩いたりしてこない。
あっちゃんはお父さんとお母さんが仲良く、あっちゃんを叩かない穏やかなぞんびの両親になってほしいと考える。

  1. 黙契

上京し学校生活を謳歌していた19歳の妹が自殺した。
両親を亡くし、男でひとつで育てた大事な妹。
なぜ死を選択したのか、兄は改めて妹の心に向き合う。

【トンコ】感想|ネタバレなし

トンコや兄弟が戯れる姿、トンコが見せる何気ないしぐさが可愛らしく
純粋で優しい心の持ち主なんだなと感じさせる。
作者は動物が好きなのかな、と思う。完全にトンコに惚れさせられてしまった。

そんなかわいい子が養豚としての生を定められ、迷い込んだ街で冷遇される。

終盤ではトンコの恐怖や混乱を想像して
また、養豚業者さんのような特定の人に手をかけさせて
自分は気軽に肉を購入していることの後ろめたさなどの感情が押し寄せ号泣。

このように胸をえぐられる思いをしたが雀野さんの他作品もみたい。
そう思わせるくらい作者の表現は豊かで
収録の「ぞんび団地」(2007年日本ホラー小説大賞短編部門最終候補まで残った作品)
「黙契」を見ても綿密なストーリーを考えそれを書き上げる力量のある方。

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