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平山夢明「怪談遺産」あらすじと感想ネタバレなし【珠玉の短編35話】

作品情報

作者平山夢明
レビュー 5.0
発行日2017/05/27
総ページ数219
ふるかわ

世代を超えて語り継ぎたい珠玉の怪談35話。
1話、3~5ページ程度で読みやすく、しっかり怖い!

(本ページはプロモーションが含まれています)

平山夢明「怪談遺産」あらすじ【珠玉の短編35話】

  1. 海へ…子供が実家の蔵で美しい光を放つ珠を見つけ、持ち出す話。
  2. 呼ぶ…仕事帰りに頻繁に電話がかかってくるようになった。折り返すと相手は連絡した覚えはないという。どうも帰り道にある朽ちた木祀(モクシ)を通ったときに電話がかかってきているようで…。
  3. たなかさん…Cさんが子供の頃、夜中に泊まりに来ていた男の話。
  4. うたた寝…昼寝の常習犯である男子高校生が見た夢。
  5. 心中…峠をドライブ中に遭遇した夫婦の心中。
  6. ヨミ…無口な転校生「良美」がFさんにだけ明かした生い立ちと夢。
  7. 人殻…山でたまに見かけられる怪現象。
  8. 床…ある高校の体育館の床に浮き出る顔。
  9. 見晴台…デジカメに映りこむ撮った覚えのない見晴台のある風景。場所を特定し訪れてみると…。
  10. おてい…目が不自由な小学生「おてい」はJにだけ懐いた。おていと歩いているといつも、目に見えない暖かで柔らかいものが手に触れた。
  11. ココナッツ…看護師のKは末期癌の患者からココナッツのような匂いを感じ取った。同僚に話してもそのような匂いはしないと言われたが、ある日、通勤中の電車内でその匂いがしてきて…。
  12. 顔…中学生のLは科学準備室にある「脳」「目」「鼻」「下あご」をそれぞれ瓶に詰めた標本を顔に見えるように置く遊びをしていた。
  13. 芋…サーフィンが趣味のMがある離島を訪れたときの話。不思議と波に乗れずいらだっていたMに島民が芋を塗れと助言する。
  14. いぬの日…ゴミ集積場に併設された檻に入れられていた犬。犬は「いぬの日」に消えており、数日後の夜、Nさんは檻を漂う光が近くの家に入っていったのを見る。
  15. 本…受験勉強の合間、気分転換に読んでいた怪談本にOが体験した恐怖の出来事を想起させる記述があった。そして、なんとも不気味な夢を見ることになる。
  16. トン…進学塾に通うP。塾で勉強中に頭を軽く<トン>と叩かれることが多くなった。教師は板書中、皆は机にかじりついており、頭を叩くものの正体はわからずじまい、ある時、自分が利用している机の裏に何か文字が彫られていることに気づく。
  17. 浮子…貧しいくらしをしている少年「たろう」が気心の知れたQにだけ見せた不思議な現象。
  18. 空…飛行機の中でRさんに無言で付きまとう女。
  19. 空気山…Hくんの友人は草の生えていない山「空気山」に立ちトランポリンのように体を上下させることにハマっていた。
  20. プール…小学生50人がプールの周りを歩き続けると渦ができた。うねりはどんどん大きくなり、1人の生徒が渦に飲み込まれた。
  21. こっくりマート…深夜に客が途絶えるコンビニ。深夜時間帯に勤務していた2人の店員は暇つぶしにこっくりさんに興じるようになる。
  22. 杞憂…大手青果店に嫁いだW。電卓を使い帳簿をつけていると、姑が使っていたそろばんが弾かれる音が聞こえてきた。
  23. 花…転職をしたXさんは引っ越し先の近くの公園で老婆が花を売っているのを見かけた。花はどれも茎が異様に曲がっており物珍しさに購入したXさん。しかし新居に泊まりに来たXさんの母が不気味な夢を見て…。
  24. 本音鬼…Yに彼女ができたのは高校三年の時。相手は他校に通う女性だ。Yの前では明るく優しい彼女だが、ある日、彼女の他の一面を知ることになる。
  25. 寒風…Zさんが中学2年の時、Zさんの父は念願の一軒家を購入した。浮足立つ家族だが引っ越し当初から不幸や怪現象に悩まされる。
  26. の西北…ある大学の銅像にまつわる合格祈願のおまじない。
  27. アジアン・リゾート…旅行先のホテルのオーナーの忠告を破った旅行者の話。
  28. 都会の狐狸 その一…bの部屋のベランダからは事故の多い交差点が見える。ある夜、外を眺めているときに交差点でゾッとする光景を目撃する。
  29. 都会の狐狸 その二…cは酔っ払い、深夜に帰宅途中、立小便をした。すると母からケータイに連絡があり何度か「気をつけなさいよ。」と言われその後に異様なことが起こる。
  30. ほぼほぼ未使用…単身、登山に出掛けたfさんが、知り合いに譲ってもらったテントで宿泊した際に遭遇した恐ろしい出来事。
  31. お座敷…Tさんが未だに後悔しお座敷遊びから足を洗うきっかけになった出来事。
  32. かみ芝居…多くの人を惹きつけるある紙芝居。しかしその紙芝居を見たものの何人かは不幸にも命を落とすといういわくつきの代物だった。
  33. 殉死…中学生のeは父の会社の倒産をきっかけに東北から東京に越してきた。東北訛りのあるeは馬鹿にされいじめがどんどんエスカレートし心身共に衰弱していった。登校できずに近くの公園にいると同じ制服を着た女の子に出会った。その子も酷いいじめに苦しんでいた。eはお互い頑張ろうと励ますが彼女は数日後…。
  34. 死ぬほど好き…人気アイドル「サユリ」を付け回すファン「タカノ」。常軌を逸した彼の行動は一生、サユリの脳裏に焼き付くことになる。
  35. 聖地巡礼…受験失敗のコンプレックスから黒魔術に没頭する高校生男子3人組。高校卒業の記念に凄惨な事件があった現場をまわり、荒らした彼らに想像を絶する出来事が襲い掛かる。

【怪談遺産】感想(ネタバレなし)

表題の「遺産」と表紙にある掛け軸に描かれているような幽霊(?)の画像から江戸時代ごろの怪談を厳選して収録してるのかなと思っていましたが違いました。
お話はほとんどが現代、まれに明治あたりと思われるものが収録されてます。

「怪談」には恐怖を求める私。不思議で終わる話では満足できないのですが本書は恐怖に重きを置いていたのでとても楽しめました。

好奇心で身を亡ぼす王道系、タダより高い物はないなどの教訓系といった昔から変わらない、人間の欲や弱い部分がたたった話。そして現代を代表する「いじめ」「ストーカー」といった現象から生まれた話と、恐怖の発生源は非常にバラエティーに富んでいます。

謎が残る話もあり、自分なりに推理するのですがきれいに辻褄が合いません。怪談や伝承に詳しい方はどう解釈をするのかな、もしかしたら他の本を読んだときとかに答えに近づけるかも。今後の解明を心待ちにできるのってワクワクする!っと怪談の新しい楽しみ方も見つけることができた1冊です。

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