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メアリー・スーを殺して|あらすじと感想ネタバレなし

作品情報

作者— ※
レビュー 5.0
発行日2016/2/28
総ページ数349
ふるかわ

ファンタジー/ミステリー/青春/グロ/ホラー
乙一が手掛ける超豪華バラエティーパックだよっ!

※本書に収録の作品を執筆した
「乙一/中田永一/山白朝子/越前魔太郎」は
すべて同一人物。
解説の「安達寛高」は乙一さんの本名です。

(本ページはプロモーションが含まれています)

【メアリー・スーを殺して】7話収録

  1. 愛すべき猿の日記 [乙一] …たくさんの奇跡により生まれる愛しい日常。僕は日記帳を開きペンを持つ。洞窟にマンモスの絵を描こうと思った人類も自分と同じ衝動を感じたのだろうか。そんなことを考えながら文字を綴る。
  2. 山羊座の友人 [乙一] …高校1年生「松田ユウヤ」の部屋に面するベランダには風に乗って、いつも不思議なものが漂着する。ある日、2か月後の未来の日付が印字された新聞が引っかかっており、ユウヤは殺人事件に関しての記述に目をとめる。
  3. 宗像君と万年筆事件 [中田永一] …小学6年生の「山本真琴」は同級生の高価な万年筆を盗んだとして執拗にいじめられるようになった。登校中のある朝、真琴がストレスから道にうずくまっていると、クラスメイトの「宗像くん」に声をかけられた。宗像くんは真琴の無実を信じ事件の検証に乗り出す!
  4. メアリー・スーを殺して [中田永一] …高校生の時、私は外見にコンプレックスがあり極度のゲームオタクだった。そして原作にオリジナルのキャラを登場させる小説を書いていた。誰からも愛され特別な才能を持つキャラに自信を投影している間は冴えない現実を忘れられた。しかし、そんな小説を気持ち悪いと非難されたことをきっかけに、現実の自分を変えようと奮起する。
  5. トランシーバー [山白朝子] …仕事から帰ると買い込んだ酒をあおり酩酊し気絶するように眠る日々。しかし、ある日からおもちゃのトランシーバーから息子の声が聞こえるようになり、息子とのやり取りを重ね、少しづつ未来を見据えられるようになる。
  6. ある印刷物の行方 [山白朝子] …小説家志望のフリーター「小野寺」は先輩の紹介で「バイオ/再生医療」の実験施設で働くことになった。仕事内容は実験後に出た廃棄物の焼却処理だ。専門知識は必要なく簡単にも関わらず高給…実験内容も詳しく知らされていないが金が欲しかった。小野寺は日々、中の見えない箱を渡され焼却し続けるが後に箱の中の廃棄物の正体を知る時が来て…
  7. エヴァ・マリー・クロス [越前魔太郎] …ある資産家の男の死後、その妻が拳銃自殺をした。資産家が多額の寄付をしていた孤児院でボランティアをしている「エヴァ・マリー・クロス」はある噂を耳にし記者をしている恋人に話す。夫人は夫の遺品整理中、あるものを見てから非常におびえた様子だったという。資産家のゴシップに興味を示した記者は富豪達が集う欲望と快楽の闇に足を踏み入れる。

【メアリー・スーを殺して】感想|ネタバレなし

  1. 「愛すべき猿の日記」何か特別なことが起こったり、ハプニングがあるわけじゃないんです。なのに、ストレスなくスルスルと読んでしまう。どんな魔法にかけられているのか、全く見当がつかず、あっけにとられ読み終えたころには心地の良い余韻に浸っていました。
  2. 「山羊座の友人」登場人物たちは苦痛、怒り、贖罪の気持ちを抱えつつも平静を装って行動する。なので「今この子はどんな気持ちなんだろう?」と想像してみたり、私が学生の頃も辛いことがあったな、と普段忘れていることを振り返ったり、ストーリーを読み進めるうちに本に書かれている文章以外のことでも頭が満たされていき、多くの感情も刺激される。そんな濃密な時間を過ごせた。
  3. 「宗像君と万年筆事件」大勢の生徒とイカレ教師に立ち向かった宗像くん、かっこよすぎだ!胸が熱くなった。と同時にこの「教室」という空間はやはり異常だ、何とかできないものか…と思った。
  4. 「メアリー・スーを殺して」できの悪い子ほどかわいい、とも言うしね。自分のイタいところも愛せるようになって本当に良かった。
  5. 「トランシーバー」3歳にしてパパを支える立派な息子。最後の演出の意図が私にはさっぱりわからなかった。
    2022/06/26追記:ある日、突然「もしかして、こういうこと?」と自分なりに回答が出た。
    今後、この新しい家族が平凡に暮らしていければいいが…
  6. 「ある印刷物の行方」廃棄物の造形にしびれる。そして、多くの犠牲を払っているのに実験成功への道のりは遠そうでまったくもって皮肉な話だと感じた。
  7. 「エヴァ・マリー・クロス」自分の身を守る術を持たないのになぜ、危険に足を突っ込むのか。それにしてもひねくれた作品で作者像として伊藤順二の「双一」を連想させた。面白かった。

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