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るんびにの子供|あらすじと感想ネタバレなし

作品情報

作者宇佐美まこと
レビュー 5.0
発行日2020/08/25
総ページ数242
受賞歴第1回『幽』怪談文学賞短部門大賞受賞
ふるかわ

舞台は現代日本。気付いたころには怪異に抱かれ、じんわり侵食されている。
菌が繁殖する様子を思わせるようなほの暗ゾワゾワ怪談。

※初版は[2007/05/01 幽BOOKS]から発行されていますが(獺祭(だっさい)/狼魄(ラン・ポオー))の2作を追加し発行した[2020/08/25 角川ホラー文庫]の情報を掲載いたします。

・るんびにの子供 (幽BOOKS) 単行本 – 2007/05/01 5話収録
・るんびにの子供 (角川ホラー文庫) 文庫 – 2020/08/25 7話収録

(本ページはプロモーションが含まれています)

【るんびにの子供】あらすじ

  1. るんびにの子供…私が幼稚園児の時に初めて現れた「久美ちゃん」。
    私は成長し大人になるも、久美ちゃんは子供のまま私の近くにいて…。「幽」怪談文学賞短編部門大賞受賞作品。
  2. 柘榴の家…窃盗・恐喝で得た金も尽き、警察に追われる男は逃亡の末、柘榴の木がある古い家に忍び込んだ。
    住人である高齢の老婆は姿を消した孫が帰ってきたと、快く男を迎え入れる。
  3. 手袋…近所の道端に落ちていた高価そうな手袋。すぐ隣の空き家の塀の上に置いておくも、
    翌日以降、別の場所で落ちているところを発見する。そして、吸い寄せられるように自分の手に手袋をはめてみる。
  4. キリコ…嫁ぎ先の親族とそりが合わず、煙たがられているキリコ。
    愛想がないという以外にも姑がキリコを疎む理由がどうもキリコの家系にあるようで…。
  5. とびだす絵本…親戚の屋敷の家財整理を依頼された隆幸。
    子供の頃によく遊びに来ていた思い出がよみがえり胸を痛める。
  6. 獺祭(だっさい)…第二十八祥栄丸が沈没するも救命いかだに乗り移れた「俺」と機関士「谷口」。
    漂流当初は優しく俺を励ましてくれた谷口さんが日ごとに怒りやすく、挙動が獣じみていく。
  7. 狼魄(ラン・ポオー)…戦争直後に大変な苦労をして満州から引き揚げてきた経験を持つ祖母。
    そんな祖母の二十三回忌に親戚が集まり、
    「私」や従妹は祖母が話していた呪いの道具「狼魄(ラン・ポオー)」について懐古する。

【るんびにの子供】感想|ネタバレなし

私は、人間が恐怖に顔を歪め、血をまき散らす派手目なホラーが大好き。
この本はそのような演出は全くありません。真逆で、静かーに始まり、静かーに終わる話です。

しかし、好みを圧して大満足させてもらった本でした。

怪談となることを前提に始まっているにも関わらず、なんでもない「日常」が過ぎていき、
「えっ、これ、怖くなるの?」と疑っていましたが登場人物が実にスムーズに怪異に落ちてくさまと
人間心理を把握しきった筆者に感嘆いたしました。
発想とストーリー展開も面白いし筆者を信用し安心して没入できるストーリー群です。

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