耳で聴く怖い話|「おすすめ怪談&怖い小説」朗読100話以上ご紹介 詳細記事を見る

草祭(くさまつり)|あらすじと感想ネタバレなし

作品情報

作者恒川光太郎
レビュー 5.0
発行日2008/11/20
総ページ数260
ふるかわ

ぼくらの町に隠れている秘密の場所で体験した非日常。
「特別なあの日」を描く幻想冒険ホラー。

(本ページはプロモーションが含まれています)

【草祭】5話収録

日本の住宅街に似た地域「美奥(びおく)」…
人知れず佇むしめ縄のかかった岩がある原っぱ、近代的な建物の中に未だ残る瓦屋根の集落
どこに通じているかわからない錆びた線路。そんな、謎と魅惑が漂う街のある夏の日の出来事を5つの短編で描く。

  1. けものはら…中学3年生「雄也」の友人で同級生の「春(はる)」がある日、行方不明となった。ふと、子供の頃に春と1度訪れた「けものはら」の情景が脳裏をかすめた。雄也は人気のない水路を降り、緑の生い茂る「けものはら」へと向う。そこにはやつれた春の姿があった。
  2. 屋根猩猩…下校途中の藤岡美和(17)の前に屋根から颯爽と舞い降りた少年「タカヒロ」。彼は美奥の古い集落「尾根崎」の治安を守っているという。木造瓦屋根が密集し風変わりな構造と習慣を持つ尾根崎とその守り神「猩猩」の話。
  3. くさのゆめがたり…人里離れた山奥で孤独に暮らしていた少年が道に迷っていた僧侶と出会う。少年は僧侶と共に町に降り、家族で生活する温かさを知る。しかし、町には町民を脅かすある暗い問題が影を落としていた。美奥始まりの物語。
  4. 天化の宿…大きな杉の木のある古寺のような廃屋。中学生「望月ゆうか」はその裏に錆びた線路を見つける。線路に沿って歩いた先に元気な双子の男の子とクトキの館が現れる。そこで「天化(テンゲ)」という卓上遊戯を勧められ、その面白さに熱中し数日を過ごす。
  5. 朝の朧町…朝の朧町…50代になる「長船さん」の元に居候して4年になる「香奈枝」。香奈枝は「旅行に行ってみないか?」と長船さんに提案する。長船さんはある日、香奈枝を外に連れ出す。歩き続けた錆びた線路の先には長船さんが創造した町が広がっていた。

【草祭】感想|ネタバレなし

ペース配分など考えず走り回り、遊びまくった懐かしい夏の日を思い出す。
描かれている”冒険・友情・恋”に心が熱くなる。

しかし物語には常に冷たく暗い影の気配がある。
だからこそ「普通の日々」がまぶしく輝くのだろうが、失ったときの衝撃も大きい。

4話目「天化の宿」で描かれる遊戯の説明、展開の記述は「これは発明かっ!?」と心の中でひっくり返るほど驚かされたことが印象的。遊戯の説明なんて、書けば中だるみしそうなものなのに、登場人物「ゆうか」と共に興奮と快感の渦に巻き込まれてしまった。

私のつたないあらすじ紹介(今はここまでが限界…)では魅力を表現できていないが
深い味わいがあり、読んでる間中「面白い」一冊。

作者の他作品
¥649 (2022/04/07 11:09時点 | Amazon調べ)

ほかの作品を見る>> これは怖い!ホラー小説『名作含む50冊以上』感想レビュー|日本の作家29人

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA